■チョーキング現象とは
外壁塗装は経年変化により、その表面を指でなぞると、指に白い粉が付く現象が生じます。これはチョーキング現象と言われ、塗膜表面にチョーキングが起これば、塗り替え時のサインだと言えるのです。
このチョーキング現象は、どの様なメカニズムで発生し、なぜこの症状が出ているタイミングが塗り替え時なのかを、以下で説明したいと思います。
■外壁塗膜の劣化プロセスとチョーキング現象
- 初期の塗膜の状態
壁面の躯体に塗装される塗料は、顔料粒子と樹脂が混合されたものです。この塗料が塗られた塗膜は、当初は樹脂が顔料を覆い、塗膜表面は平滑でつるりとした感触の表面常態となっています。
この塗膜が太陽光の紫外線や熱、また雨の水分や酸性雨等の影響により次第に劣化して行き、以下の劣化プロセスを辿る事になります。
- 劣化初期の状態
劣化が徐々に進むと、樹脂の微細なワレや欠落により、顔料が塗膜表面に露出し、塗膜表面に凸凹が発生します。表面のつるりとした感触は次第に失われ、光沢がなくなり始めます。この時期を劣化初期段階と呼びます。
- 劣化中期の状態
初期の劣化状態が、さらに劣化が進む事で顔料が塗膜表面に完全露出し、また樹脂層の粒子化が起こり、塗膜表面は粉化状態になります。こうした状態になっている塗膜表面を指でなぞると指に粉分が付着する事になります。
この様に、指にチョークの粉の様に付着物が付く状態をチョーキング現象と言い、塗膜の劣化が相当進みつつある事を示しています。
- 劣化終期の状態
チョーキングが生じている状態を放置していると、最終的に樹脂の結合力そのものが低下してしまいます。この段階になると、塗膜自身のワレ（クラック）が生じたり、接着力の低下により下地の躯体から塗膜剥離や浮きが発生してしまいます。こうした状態になると躯体の保護機能はほとんどなくなり、美観も極めて悪い状態を招いてしまいます。
こうした劣化終期の症状になると、下地の躯体を雨水から守る塗膜の機能がほとんど無くなり、最悪のケースでは下地躯体をつたって雨水が住宅の構造体である柱や梁を濡らし、 構造体を腐食させ住宅寿命を短くしてしまう恐れが生じます。
■チョーキングが塗り替え時である理由
上記の塗膜劣化プロセスで説明した様に、チョーキングが生じている状態を放置していると、雨水が住宅の構造体である柱や梁を濡らす恐れがあります。雨漏りまでに至らなくても、塗膜劣化の最終期では知らない間に雨水に因る住宅寿命を短命にすると言う事がひそかに生じている可能性があるのです。
また下地躯体から塗膜の浮きが激しくなり、この段階で塗装をし直した場合、浮いた塗膜を完全に除去して新たな塗装を行わないと、塗った新たな塗膜が最初から下地躯体から浮いた状態となってしまい、完全な塗装が行えない事が生じるのです。
従って、塗膜劣化の終期ではなく、劣化度が少し終期手前の中期段階で塗装をし直す事が良いのです。すなわち、チョーキング現象が生じている事は、そろそろ塗り替え時だと言うサインなのです。
■塗料種類による塗膜寿命の違い
それでは、このチョーキング現象が起こる塗膜劣化の中期から終期に至る経年の目安はその程度なのでしょうか？これは外壁がどの様な環境にさらされているかによって違いが生じますが、一般的には塗料種毎に以下の様に言われています。
最も寿命が短い塗料は、アクリル系塗料で寿命は4～7年と言われています。塗料の価格は安いものの、余りにも寿命が短いため、最近では使用される事は減っています。
次にウレタン系は汚れや色褪せに強く、耐久性が6～10年で施工性などのバランスが良い事から、かつてはよく使用されていましたが、次に記載するシリコン系が市販されるにつれ、使用される頻度は極端に下がりました。
近年、最も多く使われている塗料は、シリコン系で8～15年が耐用年数だと言われています。このシリコン系は汚れや色落ちに強い・防カビ性・防藻性など高い性能あり、またコスト対寿命のパフォーマンスが良い事もあり、最近では最もよく使用されている塗料の種類と言えます。
シリコン系より塗膜寿命が長い塗料としては、フッ素系があります。この塗料の寿命は15～20年と言われており、耐久性ではトップクラスですが、価格が高いのが難点です。従ってこの塗料は、一般住宅での使用も増えて来ていますが、主に商業施設や大きなビルなどで使用されているのが実態です。
■塗り替え時期を適切に見極める方法
塗料の塗膜は永久的なものではなく、太陽光や雨にさらされ続ける事によって、劣化して行く事をまず知る事が大切です。その上で、その塗膜の劣化終期に至る寿命は塗料の種類によって異なる事を理解し、新築から10年を経た頃から外壁の表面を指でなぞり、チョーキング現象が生じていないかを時々チェックする様にしましょう。そしてチョーキング現象が発生している段階なら、終期に至る前に信頼できる業者さんを探して、塗装を行う事が大切な住宅寿命を短くしないためには重要と言えるのです。横浜在住の方なら、こちらの専門業者のwebサイトを参考にしてみるのもいいかもしれません。